AIと渡り合う子どもたち
2018/05/19
「AIと教科書が読めないこどもたち」(新井紀子著)を読んで、
とても悩ましい状況に置かれています。
本の中では、
「AIの得意な計算で勝負するのではなく、AIの苦手な読解力で勝負する必要がある」
という主旨のことが書いてあります。
つまりAIの存在を認めたうえで、
どのように渡り合うのかが重要だということを示唆していると思います。
すなわち、子どもたちには単に字面をなぞる力を持たせるのではなく、
そこに記されている行間の意味までをも、
考え抜き読み取る力を育てることが必要なのです。
中学1年生の数学の初めの方で、
(−4)×(−2)=+8
という計算があります。
これを生徒には普通、
「同符号の乗法は、絶対値の積に+をつける」
と教えます。
計算の仕方を学ぶ上では、効率的だと思いますが、
「なぜ?そうなるのか?」
という説明は、数直線上で行うのですが、
省略されることがほとんどです。
どうして省略するかというと、
すべての事柄について
「なぜ?そうなるのか?」
を説明し、生徒に考えさせるには、膨大な時間がかかってしまうからです。
そうすると高校受験までにカリキュラムを終わらせられない事態に陥ります。
かと言って、効率を重視すると、
新井紀子氏が危惧しているように、
将来的にはAIに勝てない人材を育成していることになってしまいます。
つまり、現在の受験システムはAIの存在を前提にしていない時代のものなので、
当然のことながら不備があるのだと思います。
かと言って、新制度の大学受験の仕組みが整い終える頃には、
AIは今以上に進歩し、社会の中に入り込んでいることでしょう。
私は、生徒の皆さんが
「将来、自分も幸福であり、他人にも恩恵をもたらす人」
になって欲しいと願っています。
そのため、効率と非効率を組み合わせた教育を模索していきたいと思います。